あのひとみん?

文章のトレーニングがてらにブログを始めてみました。

恋愛と性交渉(2):「真」と「全体」

 前回、「恋愛と性交渉を結び付ける」という議論の中で、「恋愛」が「性交渉」と不可分であるとするならば、「性交渉」以外の「恋愛」は成立しえないはずだという予想に対し、このような反論を想定しました。

(「恋愛」と「性交渉」が不可分だというのは)「恋愛」をしていればその過程で「性交渉」は必ず経るはずであって、これを経ていない「恋愛」は「真の恋愛」ではない、ということだ。したがって問題なのは"「性交渉」をしている瞬間"ではなくて、"「全体の枠としての恋愛」の中に「性交渉」が含まれている/いない"ことである。※強調ママ

  今回は、これについて考えてみます。

 まずは「真の恋愛」という考え方について。「真の」という言葉は「偽の」が想定されているときにのみ使えるはずのものです。ですので、これはおそらく対となる「偽物の恋愛」が想定されているのではないかと考えられます。そして「偽物の恋愛」は「恋愛」たり得ず、あるいは「恋愛」としては不十分なものであり、他方「真の恋愛」こそが唯一の「恋愛」であると、このように想定しているのではないでしょうか。

 そうすると「恋愛」と「性交渉」が不可分だとする立場の、上の反論から導ける主張は、「性交渉」が、「偽物の恋愛」を「真の恋愛」たらしめる唯一の、少なくとも必須の、条件だと考えているということです*1。これは上の「これを経ていない『恋愛』は『真の恋愛』ではない」において、「これ」が「性交渉」であることは明らかであり、また「真」でないものは「偽」であることであることから導くことができます*2。時間的順序を簡単に示すと次のようになります。

「偽物の恋愛」「性交渉」「真の恋愛」

 ではこの「偽物の恋愛」というのは一体何なのでしょうか。これを考えていく上で次の「全体の枠としての恋愛」(以下これを「恋愛全体」とします)が必要になってくるように思います。

 「恋愛全体」は、「全体の枠」という文言からすると、ある恋愛が始まった時に同時に開始し、これが終わると同時に終了するものだと考えられます。このとき、この恋愛が「真」であるか「偽」であるかは関係ありません。というのも、もしこのとき「真の恋愛」しか「恋愛全体」に含まれないのだとすれば、上の時間順序の想定から考えると「偽物の恋愛」が「恋愛全体」から、論理的に存在しえないことになるからです。これは"「全体の枠としての恋愛」の中に「性交渉」が含まれている/いない"という想定からも裏付けられます。「全体」を含めて示すと、このような感じでしょうか。

「恋愛全体」開始(「偽物の恋愛」も同時に開始)

 「性交渉」「真の恋愛」

  「恋愛全体」終了(真の恋愛も同時に終了)

 これで「反論」の概要をつかむことができました。既にこの想定について、何か奇妙に感じている方もいらっしゃるかと思いますが、また次回に引き継ぎます。それでは。

 

*1:ここで「少なくとも必須」としているのは、「条件」が「唯一」でない可能性を考慮してのものです。

*2:真でも偽でもない他の真理値もあるかもしれませんが、ここでは想定していません